不動産業界では「囲い込み」や「売り止め」、など古くからある売主に不利益をもたらす慣習があります。
今回は物件の「囲い込み」についてお話ししたいと思います。
”囲い込み”とは売主から売却の依頼を受けた不動産会社が、他の不動産会社に取り扱いをさせないため、その依頼を受けた物件情報を出さないことです。
このような行為がなぜ問題になっているのでしょうか。
囲い込みを行うと以下のようなデメリットがあります。
①売買契約までに時間がかかる。
②売主の希望条件で成約できない可能性がある。
③買主は希望物件を見つけられない
不動産会社は売主から依頼を受けた場合、媒介契約を結びます。
契約内容によっては「レインズ」という業者間のネットワークに物件情報を登録し、幅広い不動産会社に情報を開示しなければなりません。
しかし他の不動産会社に情報を開示しないために、広く買主募集活動が行われなく、契約までに時間がかかってしまい場合があります。
その結果、価格が下がってしまうなど売主の希望条件で契約できない可能性もあるのです。
買主側からすると、その物件が希望通りの物件なのに、その不動産会社に辿りつかない限り購入することができません。
このように囲い込みはお客様にとってデメリットばかりの行為なのです。
では、なぜ不動産会社はこの「囲い込み」を行うのでしょうか。
囲い込みをする理由は自社の利益をより多く得るためです。
囲い込みをしていれば、物件を自社だけで独占できます。
そのため売主だけでなく買い手も自力で見つけて売主・買主双方から手数料を受け取ることができます。
これを”両手仲介”といいます。
また、情報は他の不動産会社に公開していても、「すでに商談が進行中」「契約予定です」など虚偽の情報を流す会社もあることが現実にあります。
これに対して売主と買主のそれぞれに、別々の不動産会社が仲介を行うことを「片手仲介」といいます。
片手仲介だと、売主からしか仲介手数料を受け取ることができないため、囲い込みを行う不動産会社はやりたがりません。
※住宅新法WEB「主要流通各社の16年度仲介実績」のデータ(2018年3月期)を元に作成
手数料率は、手数料収入を取引残高で割ったものを掲載しています。
表を見て頂くとわかると思いますが、平均の手数料率が3%を超えています。
不動産売買の仲介手数料の上限は3%+6万円(消費税別)と定められています。
上限の3%を超えていることから売主と買主の双方から仲介手数料を受け取っている「両手仲介」を行っていることが想像できます。
両手仲介自体は悪いことだとは思いません。
物件を売りたい人、買いたい人が同じ時期に上手くマッチングできた場合など、
結果的に両手仲介になることはあると思います。
問題はこの「両手仲介」ありきで「囲い込み」をすることです。
これは前述の通り、お客様にとってデメリットがあるからです。
このようなことを解決するためにはお客様自身もこのような慣習があることを理解して頂き、
依頼をする不動産会社に「囲い込み」を行わないかを確認していただきたいと思います。
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